がん治療update

07分子標的薬剤グリベックと樹状細胞
Takashi Morisaki:2004.11

(※記事内の情報は執筆当時の内容のため現在とは異なる場合がございます。)

慢性骨髄性白血病や消化管の肉腫に対する特効薬ともなっているグリベックという新しい抗癌剤(分子標的薬剤)があります。 この薬剤が一見全く関係の無いところでも癌に対して働いている可能性が最近報告されています。

ひとつはグリベックを投与された患者ではNK活性が増加しており、グリベックが作用した樹状細胞がNK細胞を活性化したという報告です。もうひとつは、グリベックによる樹状細胞への作用により、癌に対して免疫寛容状態になっていた CD4ヘルパーT細胞の、癌細胞に対する免疫応答能力を回復させたという報告です。

これらの報告が臨床的にも確実なものであれば非常に興味深いことです。しかし、よく考えれば、本来免疫系に直接働かない薬剤が免疫系に間接的に影響をおよぼすことはよくあることであり、これまでにも抗生物質や抗癌剤において多くの報告がありました。(これらの報告には癌に対する免疫反応にとってプラスになる場合とマイナスになる場合があります)

以上のことを考えた場合、臨床腫瘍医は単に抗癌剤の理論と実践に精通するのみでなく、 免疫学にも精通する必要性があると思われます。

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