がん治療update

06がん免疫療法の越えねばならないハードル:免疫抑制と免疫寛容
Takashi Morisaki:2004.10

(※記事内の情報は執筆当時の内容のため現在とは異なる場合がございます。)

癌が自分自身の正常細胞から発生したものであっても、癌細胞は正常細胞がわずかしか持たない分子や、 正常とはややアミノ酸構造が変異した蛋白分子(癌関連抗原)を持っていることから、これらの分子を持つ癌細胞に対し免疫機構が働く場合があり、これを治療に応用できる可能性があることに異論を挟む人は少なくなりました。

癌抗原そのものを用いたワクチン療法や樹状細胞ワクチン、活性化Tリンパ球、活性化NK細胞などの免疫細胞、サイトカインといわれる免疫細胞が作り出す物質を利用した特異的がん免疫療法は 今後の発展が期待されていますが、これらの免疫療法の治療効果を阻むものが、免疫抑制因子とよばれる物質や、癌細胞の免疫原性を弱める免疫寛容という機構です。

前者にはTGF-betaという物質などが知られており、後者には癌細胞におけるMHC分子という細胞の目印の減弱や、抑制性T細胞の存在などがあります。
特に最近注目されているのがTGF-betaを産生する抑制性T細胞ですが、ある種の抗癌剤やIL-2という生物薬剤の前投与により抑制性T細胞が減少し、免疫細胞の増強にも役立つ可能性があることがわかってきました。

癌に対する免疫反応を阻む因子をどうやって除いていくかが今後のがん免疫療法の発展にも深く関係しています。 免疫抑制や寛容の克服には西洋医学的な薬剤のみでなく、代替補完医療にもその活躍の場があると考えられます。

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