がん治療update

15抗癌剤治療と免疫細胞療法
Takashi Morisaki:2009.02

(※記事内の情報は執筆当時の内容のため現在とは異なる場合がございます。)

白血球が減少し免疫力も一時的に弱まる抗癌剤治療と免疫療法とは治療の組み合わせとしては相容れないのではないかとの質問を患者さんや時には癌治療専門医からも受けることがあります。

確かに、これまでの抗癌剤は骨髄抑制といって、骨の中の白血球(免疫細胞)や赤血球、血小板などの血液成分を減らしてしまうという重大な副作用が付きものです。
しかし実は一見免疫を抑制するように見える抗癌剤でも使い方次第では免疫力を妨げるどころか逆に癌に対する免疫の働きを補助することも分かってきました。

例えば、免疫細胞でありながら免疫反応を抑制してしまう作用のある制御性T細胞は、がん患者さんの体内では特に増加し癌に対する免疫反応を抑えていることが知られていますが、抗癌剤にはこの制御性T細胞を減らす効果もあります。また、癌細胞にストレスを与えて免疫細胞の攻撃目標にされ易い形に変えたりする、つまり癌細胞に対する免疫細胞の働きにとっては都合のいい作用を持つことも明らかになってきました。

この理論に基づいて米国国立癌研究所では現在臨床試験として抗癌剤投与後に癌細胞に特異的に反応するTリンパ球を患者さんに戻す方法が開始され注目されています。
また、最近開発されてきた分子標的薬剤といわれる薬剤の中には、免疫細胞の機能を利用して癌細胞に働く抗体医薬と呼ばれる薬剤が増えてきました。
今後は免疫細胞療法を最新の薬剤治療や放射線治療とうまく調和させ併用していくことが、難治性の癌を征圧する上でますます重要になると考えます。

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