がん治療update

10がん細胞の特性を標的にした分子標的療法と免疫細胞療法
Takashi Morisaki:2005.09

(※記事内の情報は執筆当時の内容のため現在とは異なる場合がございます。)

通常、抗癌剤は免疫能を低下させると言われている。

それは、抗癌剤が細胞分裂の盛んな細胞を障害するためで、骨髄中の免疫細胞の大元の細胞すなわち骨髄幹細胞の分裂を阻害し、その結果として免疫系の細胞の数を低下させるばかりでなく、血液中のリンパ球など細胞分裂中ではない免疫細胞の数のみならずその機能までもばかりか逆に免疫能をあげる場合があることがわかってきた。

例えば、シクロフォスファマイドという昔からあった抗癌剤は、少量だと免疫細胞の総合力をあげることが知られている。その効果のメカニズムの少なくとも一つは、現在最も注目されている免疫細胞である制御性T細胞の機能抑制作用にあるかもしれない。
ドセタキセル(タキソテール)やジェムザールという抗癌剤も、それを用いる量と タイミング次第ではNK活性などの細胞性免疫を刺激する場合もあることが報告されている。
また、それ自体は抗癌剤ではないが、抗がん剤の効果をあげる目的で使われる補助薬剤の一つ セレブレックスは、プロスタグランディンE2の合成阻害作用により細胞性免疫力をあげる可能性がある。

従って、用い方によっては免疫細胞療法との相性がよい抗癌剤が使用できるということであり、 臨床応用の機会が増えてきたこれらの薬剤と免疫細胞療法との併用のタイミングの決定がますます重要であると思われる。

このページの先頭へ