院長コラム

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08免疫の危険理論とは
2004.11

がんに対する免疫療法が理論的に可能であるという考え方の背景には、癌細胞は正常の自己細胞が持たない異常な蛋白質や糖などを発現しており、これらを免疫細胞が非自己と認識して攻撃できるという考え方があります。

免疫とは自己と非自己を見分けて非自己を攻撃するという理論からすればそれで結構なのですが、 癌細胞が持っている一つ一つの異常蛋白質の非自己部分は微々たるもので、免疫が微生物の非自己部分に対して働く場合と比較すれば非常に弱いものとも考えられます。ここに、癌に働く免疫力が弱い要因の一つがあるようです。

しかし、「免疫とは生態にとって危険か危険でないかを見分けて危険なものに対してのみ働く機構である」という比較的新しい理論(これを免疫の危険理論といいます)の考え方に従えば、免疫が癌を危険なものとして認識するように仕向ける方法があればよいわけです。
壊死した細胞は生体にとって危険なものとして扱われることが分かっていますので、壊死させた癌細胞そのものや癌細胞の持つ異常成分を樹状細胞に食べさせ、炎症性サイトカインというものを加え、 成熟化処理をすることで樹状細胞に危険信号を送ることができ、癌に対する免疫反応を活性化することができます。

以上のことが、がんワクチンとしての樹状細胞の理論的背景になっているのです。

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