院長コラム

(※記事内の情報は執筆当時の内容のため現在とは異なる場合がございます。)

07がんとストレス 〜その常識と嘘〜
2004.10

ストレスが、がんの発生や進行に影響を及ぼすことはほぼ常識となっています。
ストレスががんを阻止することもあるなどいうと、気でも違ったかと思われるかもしれません。 でも本当にストレスはヒトにとって害ばかりなのでしょうか?
果たしてストレスとはいったい何かという問いに医学的あるいは生物学的に明確に答えられる人はそう多くはないはずです。

ヒトが受けるストレスには精神的ストレス、寒冷、熱などの物理的ストレス、放射線や紫外線などの刺激、 発癌物質などの化学的ストレスの他、最もありふれたものとして活性酸素というストレスがあります。
活性酸素は狭い意味ではスーパーオキサイド、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素の四種の物質を意味するのですが、広い意味ではこれらが脂肪と反応した過酸化脂質や一酸化窒素と反応した活性酸素なども含みます。

これらの活性酸素は実は私たちの体の細胞の中、特にミトコンドリアというところで常に産生されています。運動をすることによってこの活性酸素もたくさん作られます。
しかし、運動が体に悪いという人はあまりいません。
過度な運動はもちろん強い活性酸素ストレスを与え害にもなるでしょうが、適度な運動による活性酸素の増加はむしろ体にはいいのです。
現代人が過剰に嫌う活性酸素でさえ、それそのものが細胞の重要な刺激伝達物質になり、これが却って過剰な活性酸素を除去する抗酸化物質を体に作ることにつながるのです。

これと同じことが放射線や発癌物質にさえあてはまることがわかってきました。ごく少量の放射線や化学物質にさらされると、生物学的には却って長生きすることがわかってきたのです。 これをホルミシス効果といいます。

過剰なストレスは当然避けるべきでしょうが、多少のストレスは受けて立つくらいの方がいいのかもしれません。適度の精神的ストレスが免疫能を逆に上げる場合もあることが最近、米国の学者により報告されています。

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