院長コラム

(※記事内の情報は執筆当時の内容のため現在とは異なる場合がございます。)

05がんと免疫に関する大きな誤解
2004.8

よく健康食品の宣伝の中に書かれていることをそのまま信じて、免疫力をあげれば病気が治る、とか癌に対抗できるとか免疫力アップイコール健康になると勘違いされている方がおられますが、これは大きな誤解です。

ここでいう免疫力が具体的に何を意味するか不明確ですし、ただやみくもに、ある種の免疫細胞の数や機能を上げることができたとしても、癌の治療に役立つとは限りません。Tリンパ球のみ、NK細胞のみ、樹状細胞のみというように、残念ながら一種類のみの細胞を増やしたり移入したりするだけで消えるような簡単なものでは癌はありません。

また、免疫療法において何かを変化させようと外部から治療を施そうとした場合には、体はそれに抵抗しようとする反応さえします。これは抗癌剤を用いた治療においてもいえることです。
私の師である片野光男先生(現九大大学院腫瘍制御学教授)からも、何か新しい治療をする場合には必ず、その負の側面を十分に考えてからやりなさいと教えられました。たとえいい結果が期待されることでも(健康食品でも同じことがいえます)、必ずそのマイナスの側面を十分知り、考えてから行うべきです。

抗癌剤治療でも免疫療法においても、本当のスペシャリストとは、そのよい点のみでなく負の側面も十分知り尽くしている医師のことです。
今、過剰な健康食品や薬の摂取による被害が明らかになりつつあります。単に免疫力をやみくもに上げようと煽りたてる薬剤はむしろ危険と考えます。

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