院長コラム

(※記事内の情報は執筆当時の内容のため現在とは異なる場合がございます。)

04抗がん剤と免疫細胞療法との調和
2004.7

現在使われている抗がん剤の多くは、癌細胞に特異的に作用するのではなく、特殊な正常な細胞(毛根細胞、消化管粘膜など)を含む細胞分裂の盛んな細胞全部に対して細胞分裂の機能を阻害したりDNAの複製を阻害したりすることによってその機能を発揮するわけです。
従って、抗がん剤治療の方法如何によっては、分裂の早い骨髄の細胞(免疫細胞をつくり出す細胞)にも悪影響を与える場合があります。

しかし、逆にこの悪影響を免疫細胞療法に利用する方法が報告されています。生体にはリンパ球の数を一定に保とうとする 恒常性機構が備わっているといわれています。
例えば、リンパ球数が十分保たれている時はいくら多くのリンパ球を外から移入しても、数はあまり増えないのですが、逆に抗癌剤治療でリンパ球の数が減少している時に、がんに特異的に働く活性化したリンパ球を体外で増殖させて入れてやると、体はリンパ球が少ない状況なのでそのリンパ球が体の中によりとりいれられ、時には増殖し、その結果腫瘍に対するリンパ球がより働きやすくなる可能性が示されたのです。

いままでの免疫療法の役割は、抗がん剤治療の副作用を軽減する目的で使われたのですが、今後は、互いの欠点をそしりあうのではなく、互いの効果の特徴を生かしながら、より調和した治療にしていくことががん治療の場に求められていると思います。

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