院長コラム

(※記事内の情報は執筆当時の内容のため現在とは異なる場合がございます。)

21最新薬物療法と免疫療法の併用療法について
2010.10

※2010/10/23に天神クリスタルビルで行われた「樹状細胞免疫療法懇話会主催第6回セミナー『がん治療最前線』」での院長講演内容要約です※

癌治療は今、革命期に来ている。治療法も多岐にわたっているし、癌という病の捉え方も多様化している。この状況下、溢れる情報の渦の中で正しい知識を選び取り自分なりの治療法の指針を持つことは個の生き方そのものの選択といっても過言ではない。
本セミナーの目的は、それぞれの治療法の利点と欠点をよく理解したうえで自分は癌とどう闘うかを決める上で参考にしていただける最新の情報を提供することにある。

まず、がんの標準治療とされている3大治療に目を向けると、手術や放射線治療は局所制御には優れるが、転移巣が多い場合には単独では効果が得難く、また化学療法もその薬剤に耐性(薬が効かなくなること)となった癌細胞が残ることにより効果が持続しないという欠点がある。

一方、私が自院でがん治療の手段のひとつとして用いている免疫細胞療法には活性化リンパ球療法や樹状細胞ワクチン療法などがあり、副作用が少ないという利点はあるものの肺転移や癌性胸水・腹水の場合を除くと効果発現までには数ヶ月の時間を要し、がんの量が多い場合や進行が急激な場合には単独では効果が得にくい。

ところが免疫細胞療法を従来の3大治療と併用することでそれぞれの単独治療では達成できない効果を得られる場合があるのである。それは3大治療の効果それ自体に細胞レベルでの免疫系の関与があるからである。
ただし、併用する場合はそれを用いる主治医が両者の治療内容に精通していることがとても重要となる。3大治療の作用・副作用を臨床の現場で経験を積むことにより熟知した上で腫瘍免疫を研究し実践した経験をもつがん専門医が、最適のタイミングと最適の手法で免疫療法を併用しなければならない。(がん専門医とは経歴のみでなく癌の専門学会や論文で多くの発表をし、治療学としてのバックグラウンドを積み重ねた医師のことである)

最近、癌の薬物療法も劇的に変わってきた。特に開発著しい分子標的薬剤の中には、抗体医薬のようにそのものが免疫療法である薬剤もあり、さらには免疫細胞療法との併用で効果が高まる薬剤についても開発と臨床応用が進んでいる。
今後新しく登場するがん薬物療法のほとんどは分子標的薬剤であり、中には劇的な効果のある症例もあるが、これまでの抗癌剤とは異なる副作用も見られるため、その使用には薬物に関する分子生物学の知識と免疫学の知識が必要となる。従って、免疫療法のみでなく、広く最新の癌治療法に精通した専門医が癌治療拠点病院など地域医療の中核を担う医療機関と連係して治療計画をたてることが難治がんの治療には重要であると考える。

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