院長コラム

(※記事内の情報は執筆当時の内容のため現在とは異なる場合がございます。)

12ヒトにとって活性酸素は本当に悪者か?
2005.5

発ガンや老化というものに活性酸素による細胞や遺伝子の傷害が深く関係していることは間違いありません。 だからといって、活性酸素を消去するような薬剤や食品を過剰にとり続けたらどうなるでしょうか。

実は活性酸素は常にわれわれの体内の細胞の中でつくられており、シグナル伝達という細胞内部での重要な働きもしていることもわかってきました。確かに、過剰で持続的な活性酸素にさらされることは、有害といえますが、活性酸素を薬剤で消去させ続けると、グルタチオンペルオキシダーゼという活性酸素を除去する 細胞内の機構もだめにしてしまう可能性があります。

また、放射線治療や抗がん剤ががん細胞を傷害するメカニズムに、活性酸素が関与している例が数多くあります。実際、アメリカのがん専門家の中には、放射線治療や抗がん剤治療の最中 には抗酸化剤をとらないように呼びかけている方もおられます。
種々の抗がん剤に抵抗性になった白血病細胞に対してアルセナイト(ヒ素を含む)という活性酸素を発生させる薬剤が非常に有効であることが最近報告されています(既に日本でも臨床認可されています)。

さらに、抗がん剤だけでなく、活性化リンパ球やNK細胞などの免疫細胞ががん細胞を傷害するメカニズムの中にも、 グランザイムAというこれらの細胞から放出される物質が、がん細胞の中に活性酸素を発生させて これを傷害していることも報告されています(免疫細胞は一方でパーフォリンとグランザイムBという物質でがん細胞にアポトーシスと呼ばれる自殺を誘導しています)。

つまり、がんを抑え込むには、一時的にがんの中に活性酸素を生じさせることが必要である場合もあるわけです。 活性酸素の本当の害と利点を知ってからこそ、がん予防と治療における抗酸化剤を含む健康食品の意味もでてきるのです。

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