院長コラム

(※記事内の情報は執筆当時の内容のため現在とは異なる場合がございます。)

10がん難民の時代
2005.1

治りにくいがん、いわゆる難治性のがん(再発がんや多発転移がんを含む)には、これが一番という治療法はいまのところありません。 しかしながら、がん専門医を中心として、手術や放射線治療、抗がん剤治療などの標準的治療法を駆使してこの難治がんに立ち向かうことにより、がん患者さんの寿命も次第にのびつつあります。
また、免疫療法や温熱療法などは、いまだ標準的治療とは認められていないながらも、臨床研究を重ねながら上記の治療の補助的役割を果たすための努力がなされてきています。

一方、がん患者さんも、病院から言われるままの受け身の治療のみでなく、自分自身の治癒能力を高めるための様々な代替医療、例えば漢方や健康食品、瞑想、ヨガ、気功、針治療、その他様々な精神的療法を自ら進んで求めておられるのが現状です。いわば多くの治療方法が百花繚乱、悪く言えば百鬼夜行しているわけです。
このような中で、患者さんは自分自身の病気の状態や考え方に合わせて治療法の選択を迫られている訳です。

かなり進んだ状態になると、がん専門医でさえ、積極的治療が、対症療法(症状を軽減する治療のみを行う)、緩和医療のどれを選択するかの決断を患者さんに求める場合も増えてきました。 もちろん、ほとんどの患者さんは専門医でさえ決定できない治療方針を自分で決定できるはずもないわけですから、様々な治療法を求めてさまよい、そして、最悪の場合には、がん難民となってしまう場合も少なからずあります。

そうならないためには、体験談のみの代替医療や治療法に惑わされずに、日々の食生活や前向きな心の持ちようを最優先させ、患者さん御自身で、そして御家族や友人の御協力そして患者さん同士の輪の中で、正しい医学情報を集めることはもちろん、相談にのってくれる信頼のできるがん専門医や主治医を少なくとも二人以上はもたれることなどが大切と思います。
医師の方も多様化する治療法の中で、論文による医学的根拠のみを頼りにするだけでなく、常い広く勉強を続けることにより、本当にその患者さんの病態や考え方に合わせた最適の治療法についてのアドバイスをできるように日々研鑽を積むことが大切なのではないでしょうか。

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